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4/26/2014

シャトー・ラ・フルール (Chateau Lafleur)



格付け:ポムロールには公式の格付けはない。
所有者:ジャック・ギノードーとその家族
栽培面積:4.5ha
ブドウ品種:カベルネ・フラン50%、メルロ50%
平均樹齢:30年以上
植樹面積:5.900本ha
平均収量:38hl/ha
醸造及び育成発酵とマセレーションは、ヴィンテージによおて15~21日間続く。ワインは直接オーク樽に移されてマロラクティック発酵を行い。そのまま18~20か月間寝かされる(新樽比率は1/3~1/2)。ワインは新鮮な卵白を使って清澄されるが、濾過は意図的に行っていない。
年間生産量:シャトー・ラ・フルール12.000本、レ・パンセ・ド・ラ・フルール3.000本
近年のグレートヴィンテージ:2003,2001,2000,1999,1995,1990,1989,1985,1982

ポムロールにあるこの小さな畑に、私はいつも個人的な愛着を感じてきた。1970年代半ばにラフルールのワインをテイスティングし始めた頃、この銘柄について書かれたものは何も見つけることはできなかった。しかし、私の小さなテイスティング・グループの中では、このワインはどこをとってもペトリュスに優るとも劣らない人を引き付ける魅力があるという結論に達することが多かった。

確かなことは、ラ・フルールは依然として、常にペトリュスに迫り、時にはそれを凌ぐことさえできるポムロールで唯一のワインであるということだ。故ジャン=ピエール・ムエックスでさえ、かつてそれを認めたことがある。ラフルールがあらゆる点においてペトリュスに匹敵する、並はずれたワインであることを知る事が出来るまで、何度もふたつのワインを並べて味わうことができた私は幸運だった。香りの観点から言えば、ラフルールは多くのヴィンテージでペトリュスよりも複雑である。これは間違えなく、ラフルールが所有する樹齢の高いカベルネ・フランのおかげである。

ラ・フルールの偉大さの多くは、その土壌によるものだ。深い砂利質の土壌は鉄分に富み、いくらかの砂が混じるが、また、非常に重要な成分、リンとカリウムを含んでいることも特徴的である。ロバン姉妹の父がラフルールのモットーとしていた「質は量に優る」を反映して、収量は昔からごく少ない。

ラ・フルールはボルドーの最高水準に照らしても、いまだに最も独特で、エキゾチックで、偉大なワインのひとつである。これはポムロールのみならず、全世界を見渡してもそうである。
  - ロバート・M・パーカーjr著 「ロバート・パーカーが選ぶ 最新版 世界の極上ワイン」137P、138Pより抜粋







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4/25/2014

シャトー・レオヴィル・バルトン(Chateau Leoville Barton)


格付け:メドック2級 サン=ジュリアン
所有者:バルトン家
栽培面積:50ha
ブドウ品種:カベルネ・ソーヴィニョン72%、メルロ20%、カベルネ・フラン8%
平均樹齢:30年
植樹密度:9.000本/ha
平均収量:50hl/ha
醸造及び育成

このボルドーは、除梗機、プレス機、温度調節機能といった現代的な設備を使用していることを除けば、伝統的なワインづくりのシンボルである。発酵は容量200hlのオーク樽で、30~32℃の温度で行われる。発酵後もブドウは2週間程度そのまま発酵槽に残され、その後、果汁のみ別の容器に移されて、マロラクティック発酵を行う。それが終わると、ワインはオーク樽(新樽比率50%)に移され、3か月毎に卵白と水を使った清澄が行われる。翌年の7月に瓶詰している。
年間生産量:シャトー・レオヴィル・バルトン264.000本、レゼルヴ・ド・レオヴィル・バルトン55.000本
近年のグレートヴィンテージ:2003,2000,1996,1995,1990,1986,1985,1982

3つのレオヴィル(ラス・カーズ、ポワフェレ、及びバルトン)は元々はひとつの大きなレオヴィルのシャトーの一部だった。ヒュー・バルトンが1826年に畑の約1/4を買い、これがレオヴィル・バルトンとなった。そして現在に至るまで同家の所有となっている。同じくレオヴィル家がずっと所有しているのがシャトー・ランゴア・バルトンで、1821年にやはりヒュー・バルトンが買ったものだ。

レオヴィル・バルトンは一般的にその兄弟分にあたるランゴア・バルトンよりはるかに品質が優れていると思われている。いずれもアントニ・バルトンが所有していいるが、他の所有者たちと違って、バルトンはブレンドに、しなやかで肉付きの良いメルロをごくわずかしか使わない(1980年代半ばの植樹で20%に引き上げられたが)。一方で、カベルネ・ソーヴィニョンの割合はサン=ジュリアンの村のみならず、メドック全般で見ても高い。

レオヴィル・バルトンはランゴア・バルトンでつくられる。レオヴィルにはシャトーがないからである。レオヴィル・バルトンの主な畑はサン=ジュリアン=ベイシュヴェルの街並みのすぐ裏手から西方へと広がって、シャトー・タルボの大きな畑と交差している。

1970年代には一貫性がなかったが、1980年代、1990年代、そして21世紀の初頭には連続して輝かしいまでに成功したワインを生み出している。1985年代以降、アントニ・バルトンは、このワインの伝統的なスタイルを変化させるのではなく、より洗練されたものにした。サン=ジュリアンの最高級ワインの中でも最上のお値打ち品となっている。
 -ロバート・M・パーカーjr著 「ロバート・パーカーが選ぶ 最新版 世界の極上ワイン」1147Pより抜粋





4/04/2014

シャトー・オーゾンヌ(Chateau Ausone)



格付け:プルミエ・グラン・クリュ・クラッセA(特別級第一級A)、サン=テミリオン
所有者:ミシュリーヌ、カトリーヌ&アラン・ヴォーティエ
栽培面積:7ha
ブドウ品種:メルロ50%、カベルネ・フラン50%
平均樹齢:50~55年
植樹面積:6.000~7.800本/ha
平均収量:35hl/ha
醸造及び育成:発酵とマセレーションは、温度制御機能付きの木製の発酵槽で、21~28日間かけて行われる。オークの新樽でマロラクティック発酵及び19~23ケ月間熟成し、その間3ケ月ごとに澱引きする。軽い清澄はするが、濾過は一切しない。
年間生産量:シャトー・オーゾンヌ20.000~23.000本、シャベル・ドーゾンヌ7.000本
近年のグレートヴィンテージ:2003,2002,2001,2000,1999,1998,1996,1995,1983,1982,1976

初めてボルドーを訪れた人が向かうべきシャトーとブドウ畑を1か所だけあげるとしたら、それはこの非常に小さなオーゾンヌであろう(見学はワインの専門家に限られている)。サン=テミリオンの中世の城壁の外にある丘の斜面にちょこんと位置しているオーゾンヌの立地は、壮観である。極小の畑に非常に古いブドウ樹が植えられていること、そして広い石灰岩の洞穴をこのシャトーのセラーとして使用していることが、オーゾンヌをより驚くべき存在にしている。オーゾンヌという名前は、アウソニウスというローマの詩人(紀元前320~395年)にちなんでいる。
  -- ロバート・M・パーカーjr著 「ロバート・パーカーが選ぶ 最新版 世界の極上ワイン」107Pより抜粋





4/03/2014

シャトー・シュヴァル・ブラン(Chateau Cheval Blanc)


格付け:プルミエ・グラン・クリュ・クラッセA(第一特別級A) サン=テミリオン
所有者:ベルナール・アルノー及びアルベール・フレール
栽培面積:37ha
ブドウ品種:カベルネ・フラン58%、メルロ42%
平均樹齢:45年
植樹密度:8.000本/ha
平均収量:35hl/ha
醸造及び育成
温度調節機能付きのステンレス及びコンクリートの発酵槽で、21~28日間の発酵とマセレーションを行う。マロラクティック発酵の後、オークの新樽で18カ月間熟成し、その間3か月毎に澱引きする。卵白で清澄を行い、濾過はしない。
年間生産量:シャトー・シュヴァル・ブラン100.000本  ル・プティ・シュヴァル40.000本
近年のグレートヴィンテージ:2010,2008,2007,2005,2001,2000,1999,1998,1995,1990,1985,1983,1982

シュヴァル・ブランは間違いなく、ボルドーで最も深遠なワインである。今世紀のほとんどにおいて、サン=テミリオンの格付けの中で単独でトップの地位を占め、このアペラシオン最高のワインを生み出してきた。1970年代の半ばにオーゾンヌの復興が始まってからは、シュヴァル・ブランは、世の注目をオーゾンヌと分け合わなければならなくなったが、非常に際立ったワインであることに変わりはない。ポムロルとの境を接するサン=テミリオンの砂利地(グラーヴ)一帯に位置し、そのブドウ畑は、レヴァンジルやラ・コンセイヤントとは溝ひとつによって隔てられているだけであるため、長年、そのワインはサン=テミリオンよりも、ポムロルに近いと批判されてきた。

ボルドーの「八大ワイン」のひとつであるシュヴァル・ブランは、おそらく、飲み頃の幅が最も広いワインであろう。通常、このワインは最初に瓶詰めされた時点でおいしいのだが、最高に出来のよい年のワインの場合、長期にわたって質を保つことのできる能力を備えている。メドックの第一級シャトーのワインも、ポムロルのペトリュスも、これほどの柔軟性を備えてはいない。オー=ブリオンだけが、早い段階で飲むことができ、早熟でありながら、20年から30年熟成するにふさわしい内容と総合的なバランスや強さを持つという点で、シュヴァル・ブランに近いワインだと言える。私にとっては、シュヴァル・ブランはシュヴァル・ブランなのであって、私が試飲したことのあるポムロルとも、ほかのいかなるサン=テミリオンとも違う。シュヴァル・ブランのカベルネ・フランを3分の2、メルロを3分の1という特徴あるブドウの選択は、非常に異例である。主だったシャトーで、これだけカベルネ・フランを使うところはほかにはない。しかし、興味深いことに、このブドウはシュヴァル・ブランの、鉄鉱石を岩床とした砂利の多い、砂礫(されき)質および粘土質の土壌で最高となり、極めて豊かで、熟した、強烈で、粘りけのあるワインを生み出すのである。
  - ロバート・M・パーカーjr著 「ロバート・パーカーが選ぶ 最新版 世界の極上ワイン」111Pより抜粋





4/02/2014

シャトー・ピション・ロングヴィル・バロン(Chateau Pichon Longuevilie Baron)


格付け:メドック2級 ポイヤック
所有者:アクサ・ミレジウム
栽培面積:70ha
ブドウ品種:カベルネ・ソーヴィニョン60%、メルロ35%、カベルネ・フラン4%、プティ・ヴェルド1%
平均樹齢:27年
植樹密度:9.000本/ha
平均収量:45hl/ha
醸造及び育成
シャトーのテロワールの最も古い区画には、主にカベルネ・ソーヴィニョンが植えられており、グラン・ヴァンのために選別されている。およそ20ヘクタールのより樹齢の若い区画には主にメルロが植えられており、このシャトーのセカンドワイン、レ・トゥーレル・ド・ロングヴィルの生産に使われている。各区画には、ヴィンテージ毎の標準的なスタイルと品質を維持するために別々に保たれている。

収穫が早すぎることにならないようにするために、カベルネ・ソーヴィニョンにはとりわけ注意が払われている。1991年にピション=バロンは、テロワールのタイプと成熟度の関係を理解するために、ブドウのフェノール化合物の変化をモニタリングする成熟度表(Maturity index)を設定した。ピション=バロンにおける主な目的は、果実の品質とその主たるアロマを維持することにある。

アルコール発酵と一部のマロラクティック発酵は、50~220hlのステンレス製発酵槽で行う。小さめの発酵槽は、小さい区画のために用いられて、個別に醸造する。アルコール発酵のための酵母も個別に選ばれる。26~31℃で発酵を行い、果汁は頻繁にポんピング・オーバーを行う。果皮のマセレーションは5~15日続け、その間に発酵槽毎のテイスティングを定期的に実施する。

(グラン・ヴァンのための)最上のロットは、醸造のあと、樽で熟成される。熟成の第1段階の間に数回、樽からテイスティングを行った後にアサンブラージュする。最終的なブレンドは2月の終わりか3月の初めに行う。樽での熟成はオークの新樽60~80%で約16ヵ月実施する。

年間生産量:シャトー・ピション=ロングヴィル・バロン240.000本、レ・トゥーレル・ド・ロングヴィル150.000本
近年のグレートヴィンテージ:2003,2002,2001,2000,1998,1996,1995,1990,1989,1988,1986,1982


現存しているシャトーは1851年にラトゥール・ド・ピション=ロングヴィルにより建設されて、1933年から1988年までブーテイエ家によって所有されていた。アクサ・ミレジム社に買収され、ジャン=ミシェル・カーズの指揮の下で完全に復興した。

ピション=バロンが1986年以降につくっているワインは、ポイヤックが再びふたつの偉大なピションを得たという歴然たる証拠である。このシャトーが1990年代のスーパースターのひとつとなったことも証明されている。ピション=バロンは、常にメドックで最も荘厳なワインのひとつとなっている。
 -ロバート・M・パーカーjr著 「ロバート・パーカーが選ぶ 最新版 世界の極上ワイン」193Pより抜粋