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1/27/2015

シャトー・ムートン・ロートシルト(シャトー・ムートン・ロスチャイルド)CHATEAU MOUTON ROTHSCHILD



格付け:一級(1973年)

所有者:GFA バロネス・フィリピーヌ・ド・ロートシルト
住所:Chateau Mouton Rothschild,33250 Pauillac France
TEL:33 05 56 59 22 22
FAX:33 05 56 73 20 44
窓口:技術監督 Patrick Leon. 営業統括 Herve Berland
見学:予約者のみ(TEL 33 05 56 73 21 29またはFAX 33 05 56 73 21 28)

畑 面積:83ha
ブドウ品種:カベルネ・ソーヴィニョン(77%)、メルロ(12%)、カベルネ・フラン(9%)、プティ・ヴェルド(2%)
平均樹齢:46年
植樹密度:3.420本/ha
平均収量:40~50hl/ha

醸造及び育成
収穫は、手摘みで行い、小さなバスケットに入れる。醸造室に届くと、収穫したブドウはすべて選別台上に載せられて、除梗の前に蔓や葉などを取り除いて、完全な実だけが選ばれる。その後、ブドウの実は重力を利用して発酵槽に移される。

シャトー・ムートン・ロートシルトの発酵槽はすべて木製であり、このシャトーのそれぞれの区画のブドウが、正当なワイン醸造の技術に基づいて醸造される。アルコール醸造は約1週間行う。

4~5週間の発酵/マセレーションの後で、ワインはオークの新樽に直接移される。マロラクティック発酵の後で、ワインのロットはブレンドされる。その後、ワインは樽で18~22カ月熟成する。ワインは4カ月毎に1回、定期的に伝統的な方法で澱引きを行う。このシャトーの目標は、良好な熟成能力を持つ力強いワインをつくることにある。

年間生産量
シャトー・ムートン・ロートシルト:300.000本
ル・プティ・ムートン・ド・ムートン・ロートシルト:43.000本
エール・ダルジャン(ボルドーの白):13.000本

近年の偉大なヴィンテージ
2010年、2009年、2005年、2003年、2000年、1998年、1996年、1995年、1989年、1986年、1982年


英国のロスチャイルド家の一員であったナサニエル・ド・ロートシルト男爵は1855年にシャトー・ブラーヌ=ムートンを購入して、シャトーの名前をシャトー・ムートン・ロートシルトに変えた。1922年にはナサニエルの曾孫にあたるフィリップ・ド・ロートシルト男爵(1902~1988)がこのシャトーを購入した。

1924年にフィリップ・ド・ロートシルト男爵は、初めてシャトーでの瓶詰め(シャトー元詰め)を導入した。1926年には、名高いグラン。シェ(奥行き100メートルの熟成用セラー)を建設した。このセラーはムートンを訪れる人の主なアトラクションとなっている。1933年彼は、隣接する1855年の格付けシャトーであるシャトー・ムートン・ダルマイヤックを購入して、シャトー・ダルマイヤックと名前を変え、所有地を拡大した。

ムートン・ロートシルトの地位とワインは、故フィリップ・ド・ロートシルト男爵が独自につくりあげたものである。21歳でこのシャトーを受け継いだ時に、彼がムートンに対し並々ならぬ野心を抱いていたことは疑う余地はない。とはいえ、彼は誰も想像ができなかったほどこのシャトーの評判を高めたのだ。彼はメドックのワインの1855年の格付けの変更を成し遂げることができた唯一の人物である。

何年間もロビー活動を続けた後に、1973年にムートン・ロートシルトは公式に一級に格付けされた。その際に派手好きな男爵は挑戦的なラベルの言葉を、「一級にはなれないが、二級の名に甘んじられぬ、余はムートンなり」から「余は一級であり、かつて二級であった、ムートンは不変なり」と変えている。

男爵は1998年1月に他界した。今はその娘で、男爵同様カリスマ性のあるフィリピーヌがこのワイン醸造帝国の精神的頂点にいる。彼女は、エルヴェ・ベルローが率いるムートンの有能なチームから並々ならぬ協力を引き続き得ている。

疑問の余地なく、私が飲んだボルドーの最も偉大なワインのいくつくがムートンだ。2003年、2000年、1996年、1995年、1986年、1982年、1959年、1955年、1953年、1947年、1945年、そして1929年は最高のムートンの気絶するほどすばらしい一例である。だが、一級シャトーとしては恥じ入るしかない、そしてそれを買って飲む消費者にとっても明らかに腹立たしくなるような、凡庸なヴィンテージもあまりに多かった。1990年、1980年、1979年、1978年、1977年、1976年、1974年、1973年、1967年、1964年は、一級シャトーの水準をはるかに下回った。1990年と1989年というふたつの有名なヴィンテージでさえ、卓越したヴィンテージに一級シャトーに期待されるワインとしては、驚くほど生硬で、凝縮感に欠けていた。

とはいえ、なぜこのワインが商業的に成功したか、理由はいろいろある。まず、ムートンのラベルがコレクターズ・アイテムであること。1945年以来、フィリップ・ド・ロートシルト男爵は、毎年、ひとりの画家に一枚の絵の作成を依頼し、それがラベルを飾った。ムートン・ロートシルトのラベルに登場する大家には事欠かなかった。ヨーロッパからミロ、ピカソ、シャガールにコクトー、アメリカ人ではウォーホール、マザーウェル、そして1982年にはジョン・ヒューストンが起用された。次に、偉大なヴィンテージにおけるムートンの豪華さが、ラフィット・ロートシルトの生硬な優美さや、パワフルでタニックで、濃厚で筋肉質なラトゥールとは、かなり異なるスタイルを持っていることがあげられる。三番目には、申し分なく維持されたシャトー自体が、その卓越したワイン博物館とともに、メドックの(そして多分ボルドー全域でも)最高の観光地であることだ。
-ロバート・M・パーカーjr著 「ロバート・パーカーが選ぶ 最新版 世界の極上ワイン」176P、177Pより抜粋








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